【Windows 10】全部で 7 エディション!? で、どのアプリがどれで動くのよ? #win10jp

5月 13日付けのブログ記事 「Introducing Windows 10 Editions」 で、 Windows 10 のエディションが紹介されました。 ちまたでは、「Windows 10、 全 7 エディションが判明」 だの、「完全に 1 つになるんじゃなかったの?」 だのと騒がれているようです。

しかし、 このブログ記事には Windows 10 IoT が 3 エディションになる (will) と書かれています。
つまり、 7 ではなく、 少なくとも 9 エディションあります。 この他に未発表のものが少なくとも 3 つ (Xbox / Surface Hub / HoloLens に搭載するエディション) あるので、 全てのエディションを数えると、 12 はあることになります。
また、 「完全に1つになるんじゃなかったの?」 なんて話は、 昨年 7 月、 とうの昔に否定されてます。

「当社のSKU戦略は今後もセグメントごとのままだ」 by Nadella CEO (2014/7)

…それはさておき。

複数のエディションがあるとき、 気になるのは (気にするべきは) 「どのエディションで、どんなアプリが動くのか?」 です。

「え? ユニバーサル Windows プラットフォームだから、 どのエディションでも全部動くんだろ!?」 …とお考えのあなた。 甘いです。 エディションによって、 動く / 動かないが厳然としてあります。

※ //Build 2015 のセッション 2-617 のスライド資料。 Desktop と Mobile の動作比較。
　「既存のアプリは、それらが作られたプラットフォームで動く」

■ 従来のデスクトップ アプリ

分かりやすいところから行きましょうか。

従来のデスクトップ アプリが動くのは、 やっぱりデスクトップです。
デスクトップを持っていないエディションでは動きません。

デバイス (括弧内は Extension SDK 略称)	Windows 10 のエディション名	従来のデスクトップ アプリ
デスクトップ / ノート / タブレット (基本8インチ以上) [Desktop]	・Home ・Pro ・Enterprise ・Education ・Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	○
タブレット (基本8インチ未満) / スマフォ [Mobile]	・Mobile ・Mobile Enterprise ・Mobile Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	×
組み込みボード [IoT]	・IoT Core	×
Xbox	(未発表)	×*1
Surface Hub [Team]	(未発表)	×*1
HoloLens	(未発表)	×*1

^*1 未発表のエディションだけど、今までのところ、デスクトップが搭載されるという情報は見当たらない

■ 従来の Windows ストア アプリ (PC 用)

Windows 8 / 8.1 用に作られた Windows ストア アプリが動くのは Desktop だけです。

デバイス	Windows 10 のエディション名	従来の Windows ストア アプリ (PC 用)
デスクトップ / ノート / タブレット大 [Desktop]	・Home ・Pro ・Enterprise ・Education ・Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	○
タブレット小 / スマフォ [Mobile]	・Mobile ・Mobile Enterprise ・Mobile Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	×
組み込みボード [IoT]	・IoT Core	×
Xbox	(未発表)	△*2
Surface Hub [Team]	(未発表)	△*2×*2A
HoloLens	(未発表)	△*2

^*2 ひょっとすると動くようにしてくれるかもしれない。今までのところ、それに関する情報は見当たらない。
^*2A (2015/5/18 追記) Surface Hub では動かないとのこと (ということは、 Xbox / HoloLens も同様でしょう)。 //Build 2015 セッション 2-660 資料 p.12 「Surface Hub runs Universal Windows Apps」 「It does not support Win32 or Windows Store applications」

■ 従来の Windows Phone 用アプリ

Windows Phone 7.x / 8.x 用に作られたアプリが動くのは Mobile だけです。
Desktop デバイスなんかはリソースに余裕があるんだから、 動くようにしてくれてもいいのにね (後述する Project Astoria も)。

デバイス	Windows 10 のエディション名	従来の Windows Phone 用アプリ
デスクトップ / ノート / タブレット大 [Desktop]	・Home ・Pro ・Enterprise ・Education ・Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	×
タブレット小 / スマフォ [Mobile]	・Mobile ・Mobile Enterprise ・Mobile Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	○
組み込みボード [IoT]	・IoT Core	×
Xbox	(未発表)	×*3
Surface Hub [Team]	(未発表)	×*3
HoloLens	(未発表)	×*3

^*3 未発表のエディションだけど、今までのところ、Silverlight や WinPRT が搭載されるという情報は見当たらない

■ ユニバーサル Windows プラットフォーム用アプリ

「これは全部で動くだろう」って?
別プラットフォームから移植したアプリには、 そうじゃないのもあるんです。 具体的には、 Mobile でしか動かない 「Project Astoria」 (Android アプリの移植) と、 Desktop でしか動かない 「Project Centennial」 (デスクトップ アプリの移植)。 そのような種類のアプリは、 これからさらに増えるかもしれません。

デバイス	Windows 10 のエディション名	Project A	Project C	ユニバーサルに作った UWP アプリ
デスクトップ / ノート / タブレット大 [Desktop]	・Home ・Pro ・Enterprise ・Education ・Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	×	○	○*5
タブレット小 / スマフォ [Mobile]	・Mobile ・Mobile Enterprise ・Mobile Enterprise for industry devices (未発表、仮称)	○	×	○*5
組み込みボード [IoT]	・IoT Core	×	×	○*5
Xbox	(未発表)	×*4	×*4	○*5
Surface Hub [Team]	(未発表)	×*4	×*4	○*5
HoloLens	(未発表)	×*4	×*4	○*5

^*4 未発表のエディションだけど、今までのところ、動くようにするという情報は見当たらない
^*5 開発者が動作するデバイスを限定した場合は、指定外のデバイスにはインストールできなくなる

■ すべてのデバイスで動くアプリを作るには

ということで、 Visual Studio 2015 を使って、 Windows Runtime ベース (または DirectX + C++/CX) で開発すれば、 すべてのデバイスで動くユニバーサル Windows アプリが作れます。

Android や従来のデスクトップ アプリからの移植を考える場合は、 デバイス限定にする (その代わり楽) か、 あるいは Windows Runtime ベースで作り直すかを検討することになります。
とりあえずデバイス限定で移植して、 評判が良ければ Windows Runtime ベースに作り直すという戦略もアリでしょう。

※ 「Project Islandwood」 と 「Project Westminster」 も、 すべてのデバイスで動くようにできると想像してます