これは驚き、 羽根無し扇風機
これはナニか?
青いリングの部分は、 直径 25cm ほど。 そしてリングを支えるちょっと太い円柱型の脚。 外観からは可動部分は無さそうです。
じつはこれ、 イギリスの Dyson 社が発売した "Air Multiplier" という扇風機。 ( 上の写真は、 Dyson 社の製品ページより。 )
レポート記事を引用しときます。
WIRED VISION: ダイソンの 「羽根がない無音扇風機」、 初使用レポート
2009年10月14日
土台が空気を吸い込み、 上に乗っている青い輪から吐き出す。 輪の前面から空気が吹き出すときに、 空気の流れの周りに吸引力が発生。 輪に引き込まれる空気の量も増え、 扇風機のパワーを増幅する。 Dyson社によると、 空気の圧力は15倍まで増幅され、 毎分約500リットルの空気を吐き出すという。
※ 注) WIRED VISION の原文が間違っています。 増幅されるのは圧力ではなくて、 風量 ( airflow ) です。 ( Dyson 社の解説ページでは、 ちゃんと airflow と書かれています。 )
ファンを円筒形のダクトの中に入れると風量が増す、 というのは昔から良く知られていました。 たとえば、 ジェット旅客機に多く使われているダクテッドファンに応用されています。
ダクトの中で空気を動かすものは、 ファンじゃなくても何でもいいんですが… まさか、 こういう方法があるとは !!
※ 次の 2枚の画像は、 Dyson 社の別の解説ページから。
これは、 リングの断面 ( 黒い部分 ) と、 流れる空気をシミュレーションして、 圧力を表したもの。 風は右方向へ吹き出しています。 画面周囲の濃い青が大気圧で、 圧力が下がった程度によって色分けされています。 赤いところが、 もっとも圧力の低いところ。 圧力の低いところは風速が早いと思ってもらえばいいです。
基部から吸い込まれた空気は、 リングの中を通っていき、 リングの風上側 ( 図の左側 ) 近くからリングの内側へ向けて吹き出します。
リング断面の上側だけを拡大すると、 次の画像のようになっています。 ( 上とは表現方法は違います。 )
リングの断面形状は飛行機の翼に似ています。 内部を通ってきた空気は、 この図で言うと左端よりちょっと右下の位置から、 リングの表面に沿うように右下方向に吹き出して ( 赤色 )、 そのまま表面に沿って右へと流れていきます ( 黄色→緑 )。 これにより、 まわりの空気は全体としては右方向へ押しやられますが、 翼断面の周りには ( 相対的に ) 左回りの渦が取り巻いている形になります。
こうすることによって、 一見するとどこから空気が吹き出しているのか分からなくなりますが、 おそらくそれだけではなくて、 翼断面を巡る渦がダクト効果を高めて風量アップに貢献しているのではないでしょうか。 つまり、 右端から直接吹き出させるより、 効率が上がっているだろうと思います。
(2010/1/27 追記)
その後、 国内販売のニュースが流れたものの発売延期となって、 どうなったんだろうと思っていたのですが、 4月に発売開始という予定になったそうです。
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コメント
ダイレクトメールが来てました。常識を変えた製品とかでものすごくもったいぶって結局何だかわからずじまい。ものすごくいらいらしました。結局これだったのか。
あ~、ほんとイライラしました。
投稿: trapemiya | 2009年10月15日 (木) 09時19分