インフルエンザの 「完治証明」 として簡易検査 !?

産経関西より。

2009年5月21日
「完治証明」 求める企業も　兵庫県 「発行していない」  

感染拡大が続く兵庫県で、 発熱などで欠勤した人に 「完治証明」 として簡易検査結果の証明書の提出を求めている事業者があることが２０日、 分かった。 県は 「症状から必要性が判断されない人には簡易検査はできない。 検査キットの数も限りがある。 事業所にも過剰反応しないよう求める」 としている。 こうした例は大阪府内でも確認されているという。

完治証明を求めること自体は構わないのですが。 インフルエンザウィルスの簡易検査を求めるというのは、 愚かなことですね。
・ ( 記事にあるように ) 検査キットの数には限りがある。
・ ウィルス数が少ないときに、 簡易検査では検出できないことがある。
後者は、 5月 19日に帰国した際の簡易検査では見つからず、 翌日になって感染が確認された川崎市の女子高の生徒の例が、 実際に出たわけです。 ( asahi.com の解説記事 )

医師がインフルエンザウィルスの検査は必要ないと判断した ( だから完治したと診断した )、 という証明だけで十分ではありませんか。
もっとも、 熱が下がったのですぐに出社したい、 というムチャな社員がいて、 医師に完治証明を書いてもらえないからそのかわりに簡易検査を… というトンデモなオチがあるのかもしれませんけれど。

また、 関西ではマスクが非常に品薄になっているそうで、 TV のニュースではマスクを買うために行列する人々の映像が流されていました。 いまだに、 マスクが予防に効果があるかどうかは不明とされているのに、 健康な人がマスクを買いあさったのでは、 本当に必要としている感染者が入手できなくなる恐れがあるではありませんか。

( 21時 追記 )
治癒後どころか、 発症前に陰性証明を求めるという、 もっとトンデモな会社もあるようで。

新型インフルエンザ：県内の態勢確認　「陰性証明」求める企業も　／岡山

１９日夜にあった２４地区医師会の担当者を集めた県医師会の連絡会議では、 発熱外来以外の各医療機関で新型に対応する際の準備や、 不足している簡易検査キットを利用する際の基準などを協議。 関西方面に出張した社員を受診させて、 「新型に感染していないことの証明」 を医療機関に求める企業もあるため、 陰性の証明はできないことを説明するように伝えたという。

毎日新聞　2009年5月21日　地方版

それって、 潜伏期間のあいだ隔離しておくしかないんじゃ?

( 23時 追記 )
マスク売り切れ騒ぎを受けて、 ようやく厚生労働省も、 記者会見で、 マスクでは予防できないんだから、 予防目的で使用しないように… と言うようになったようです。

時事ドットコム
「屋外でのマスク着用は不要」 ＝ 他人への感染防止が目的 － 厚労省

　新型インフルエンザの感染拡大で品切れ状態になっているマスクについて、 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進室の難波吉雄室長が２１日、 記者会見し、 本来の使用目的は予防ではなく、 他人にうつさないことだとした上で、 「人込みの少ない屋外などで着用する必要はない」 と述べた。
　難波室長は 「マスクは感染者のウイルス飛散を防ぐためのもの。 せきが出るようだったら使用してほしい」 と強調。 予防目的の購入に注意を促した。 （2009/05/21-21:33）

ただ…、 「屋外などでは」 という言い方をされると、 外出するほとんどの人はどこかの屋内に入るために出かけて行くのですから、 けっきょく、 売り切れ騒ぎは続くことになるのでは?

また、 屋内に入るときに無造作に手で外してポケットに突っ込み、 また屋外に出るときに、 それをポケットから無造作に手で取り出してマスクをする… なんていう扱いをされたのでは逆効果です。 そうかといって、 外すたびに真面目に廃棄 ( 布製なら消毒できるけど、 不織布のマスクは廃棄するしかないでしょう ) されたのでは、 逆に消費量が増えてしまいます。