アニメ DVD の売り上げは落ちているのか?
GIGAZINE に書かれた日本映像ソフト協会 (JVA) の見解の話を読むと、 特にアニメの DVD パッケージの売り上げが下がってきているのだ、 と思えてしまいます。
実際のところはどうなんでしょう?
さいわい、 JVA が 2001年からの年間売り上げ統計を公表している ので、 数字を拾い出してみました。
全てのメディア ( DVD 以外に、 ビデオテープや LD を含む ) の売り上げ推移を、 次のグラフに示します。
グラフの下から順に、 青色が一般向けアニメ ( 国内 )、 緑色が子供向けアニメ ( 国内 ) で、 オレンジ色がそれ以外の作品です。 3つの合計が、 その年のビデオソフトの総売上になります。
これを見ると、 2001年から順調に伸びてきた総売上が、 2004年をピークに下がり始めたことがわかります。
JVA が危機感を抱くのも分かります。
しかし、 アニメの売り上げを見てください。 アニメに限れば、 2005年から横這いになっていますが、 全体に比べれば落ち込みはごくわずかです。
ところで、 2007年のデータには、 全ジャンル合計が載せられていません。 DVD 以外はほとんどゼロになったので、 DVD だけの数字しか出さなくなったようです。
そこで、 DVD だけの推移のグラフも作ってみました。
色分けは、 全メディアのと同じです。
赤い折れ線が追加してありますが、 これは、 JVA REPORT NO.108 '05 JANUARY に掲載されている 「ビデオソフト市場予測調査(2004-2008)結果報告」 による、 DVD の売り上げ予測です。
これを見ると、 2007年になっても全ジャンルでの総売上の低下は止まらないようですが、 アニメはやはり横這い状態です。
まとめ。
・ JVA が 2004年に行った売り上げ予測は、 大きく外れた。
・ ビデオソフトの売り上げは全体としては 2004年がピークで、 その後は下降している。
・ そのなかで、 アニメはほぼ横這い状態を保っている。
この状況のもとで。 法的に認められているアニメを録画する行為が、 特に問題視される理由は… なんなんでしょう?
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コメント
補足1:
今回の JVA の主張は国内向けのメッセージでしょうから、 海外向けアニメの売上は 「その他のジャンル」 に含めています。
北米向けの売上などは、 落ちてきているようです。
補足2:
年間の発売タイトル数の統計があるとよかったんですが、 見つけられませんでした。
テレビで放映されるアニメは、 30分枠のものが多いので、 その 1回分を 1本として DVD 等の発売本数をカウントした統計が無いものでしょうかね。
おそらく、 発売本数は増えてきていて、 したがって 1本当たりの売上は、 この数年下がってきている、 DVD 等の売上で制作費を回収できなくなってきている、 という結果が分かると思うんです。
あ、 テレビで放映されたアニメをパッケージにしたものだけの売上額データも、 無いのか。 だめじゃん。
※ しかし。 発売本数増やしてやったから余計に買え、 といわれても。 こちとら、 財布の中身も見る時間も増えて無いんだからね。
投稿: biac | 2008年6月29日 (日) 13時57分