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2010年9月26日 (日)

インターネットのブロッキング、部分的に試験運用を開始。なにが問題なのか!?

パブリックコメントに寄せられた多数意見一切無視して決定されたブロッキング。その試験運用が始まります。 もっとも、 試験運用といっても実際に遮断するわけではないので、 まだ実害は出ませんが。

INTERNET Watch: 児童ポルノのブロッキング、 ISP はやらなきゃダメ? 近く試験運用開始
2010/9/13

今回の調査研究事業は、 9月から2011年3月までの期間で予定されており、 委託先は財団法人インターネット協会。

ブロッキングの導入を検討している ISP などが試験運用へ参加できる。 アドレスリストの提供を受けるための規定などは追って発表される見込みだが、 やはりリストの性質上、 厳格な管理が求められる。 ただし、 各事業者は実際にブロッキングまで行う必要はなく、 システム実装や運用面での検証のために用いることができる。 事業者からのフィードバックを得て、 リスト提供方法なども詰める。

この記事を読む人には、 ブロッキングの問題点なんて釈迦に説法でしょうが、 2つ記事を紹介しておきます。

Computerworld.jp: 【法律入門 第32回】ISP による児童ポルノのブロッキングは適法に行えるか
2010年09月24日 森亮二/弁護士法人英知法律事務所 弁護士

やっかいな問題がある。 児童ポルノ禁止法で定められる「児童ポルノ」の中身がはっきりしないことだ。 18歳未満のアイドルの水着写真や裸の幼児のおむつの広告ですら、 児童ポルノに該当する可能性があるとされている。 だが、 さすがにこれらの場合には「生じる害≦避けようとした害」という関係は成り立たないだろう。 そういう意味では、 ブロッキングの対象となる児童ポルノは、 同法が定義する児童ポルノのすべてではなく、 重大な児童の権利侵害が生じているものに限られるべきだ

※ 上の記事、現在検討されている2通りのブロッキング方式の説明も分かりやすいです。

現在の児ポ法の運用は、 立法の趣旨を外れて、 虐待の有無に関わらず裸や性行為・性交類似行為の画像を取り締まっているようなので、 本来の趣旨に立ち返ってブロッキングを行うべきだ、 ということですね。

そしてさらに、 きちんと監視できないと間違いなく 「冤罪」 が発生します。 すでに実施している国の例で言うと、 2年前に英国で起きた Wikipedia に対する 「冤罪」 事件が有名です。 ⇒ 崎山伸夫のBlog: 「児童ポルノブロッキング」がどんな世界をつくろうとしているのか白日のもとに晒された日 (2008/12/09)

 

日刊サイゾー: ネット利用者の被害は甚大? 「児童ポルノ」ブロッキング問題とは
2010.09.24 取材・文=昼間たかし

実際の児童を被写体にしたものは犯罪であることは明白だ。 この集会ではブロッキングに積極的か慎重かで意見に相違のある中井氏と中川氏が「児童ポルノ」という用語が焦点を狂わせるとして CAM (Child Abuse Material 児童虐待製造物) といった用語を使うべきという点では一致していたのが、 もっとも印象的であった。

CAM(Child Abuse Material - 児童虐待資料 --- 製造物は意訳しすぎだと思う) の概念は、 現行の児ポ法にも変革を迫るものです。 エロいかそうでないか、 ではなく、 実際に虐待があったかなかったか、 ということですから。 画像を見ただけでは判断出来ないでしょう。
※ CAM の単純所持規制なんてされたら、 それこそ子供とおぼしきものが写ってる映像は、 すべて廃棄しなきゃならんことになりそう。 NHK のまいんちゃんだって、 実は本人は嫌々やらされてました、 ってことだったら…

現行の児ポの扱い以上に判定が難しくなることは間違いないのですが、 しかし、 CAM として扱うことが、 虐待児童を救うためという本来の趣旨に沿っているのは間違いないと思います。


ところで、 ブロッキング対象の話題として、 「URL を掲示板に貼られたらどうなる?」 というのがあります。 ただのリンクや URL の文字列が児童ポルノ公然陳列に当たるわけが無い、 というのがインターネットに親しんでいる者の感覚ですが、 はたしてどうか…

昨年、 大阪高裁でこういう判決が出ています。

奥村徹弁護士の見解: 2010-06-06 - [児童ポルノ・児童買春](リンク貼ってない)一部改変URL掲載行為が公然陳列罪正犯とされた事案(大阪高裁H21.10.23)

 

壇弁護士の事務室: URL 事件判決
2009/10/27

要するに、 自分がサーバにアップする行為と、 URL を掲載する行為が同視できるというらしい。

しかし、 この判決の射程範囲は、 限りなく広い。

一部では、 「同視」という言葉は大人気のようである。

そりゃそうである。 当罰性を理由に、 「同視できる」と言いさえすれば何でも有罪にできるからである。

幇助どころか公然陳列の正犯。 URL を掲載することが、 児ポ画像そのものを掲載するのと同じ罪だというのです。 この判例にもとづけば、 URL を貼られた掲示板もブロッキング対象であると言えることになりますね。

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