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2009年8月 2日 (日)

静かすぎるハイブリッド車にまつわる難問 - 電気自動車「暴走族」の芽は摘んでおけ

1年くらい前に、 プリウスは静かすぎて危険 だっていう話があって、 ロータスがエンジン音発生装置を開発 したりと、 いろいろありましたが…
このたび国交省が対策の検討を始めたとのこと。

その結果として、 最悪の場合には、 「メロディーを流しっぱなしにすることが義務付けられる」 という可能性まであるようです。

日経BP社 SAFETY JAPAN [セーフティー・ジャパン]
静かすぎるハイブリッド車にまつわる難問 ── 音を出すシステムには厄介な「副作用」がある
建築&住宅ジャーナリスト 細野透
2009年 7月23日

視覚障害者が事故に合う危険を防ぐため、 音を出して接近を知らせる装置の導入などを検討し、 本年中に結論を出すことになった。

 主な検討課題は以下の3点になる。

(1) 音の種類としては、 メロディー、 チャイム、 疑似エンジン音などのうち、 どれがいいか。
(2) 音を発生させる場合、 低速走行時に自動的に発生させるのか、 それともドライバーが必要と判断したときだけに発生させるのか。
(3) 導入を義務化するか、 それとも任意の対策とするか。

先に 「最悪」 と書いたのは、 なぜか?
ちょっと想像してもらえばわかります。 信号待ちで停車している数十台の自動車の群れが、 あるいは渋滞で停車している何百台もの自動車が、 バラバラのタイミングでメロディーを奏で続ける情景を。
そのすぐ脇で暮らしている人々は、 はたして正気を保っていられるものでしょうか?

さらに、 細野氏が記事で指摘していないと思われる「副作用」も挙げておきましょう。
・ 静かなクルマに発音を義務付けたのならば、 同様な危険を伴う自転車にも義務付け議論が及ぶことでしょう。 さらにその先には、 歩行者にも…。 視覚障害者にとっては、 「音も無く」 接近してくるものは何であれ危険ですから、 自動車と二輪車と歩行者を区別して扱う理由はありません。  ( むしろ、 歩道上を接近してくる自転車と歩行者のほうが、 より危険かもしれません。 )
・ エンジン音以外に音を出すことを認めることは、 電気自動車の時代になっても 「暴走族」 ( 彼らは走ることそのものが目的ではなく、 群れをなして騒ぐことが目的なので、 「暴騒族」 とでも呼ぶべきだと思いますが ) を容認することにつながる。 現代の 「暴走族」 が、 「どんなクルマだって排気音は出している。 ちょっと音が大きいだけだろ。」 という詭弁を弄するのと同様に、 大音量の電子音を出す装置を電気自動車に取り付ける行為を正当化するに違いないのです。

ところで、ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会の第一回検討委員会(2009.07.02)に提出された資料に、 興味深いデータがいくつかありました。

・ ハイブリッド車が事故を起こしやすいということは無い
資料2: ハイブリッド車等の交通事故実態について
この資料の事故比率データを見ると、 対自転車・対歩行者ともに、 他の車種との有意な差は無いと言えそうです。

・モーターだけで走っているハイブリッド車といえども無音ではない
資料4(1): 車両接近通報装置に関する調査結果
「2.-(1) HV車とGE車の騒音の比較結果」 のグラフを見ると、 "EV Mode" つまり、 モーター走行をしているハイブリッド車 ( HV 車 ) と、 ガソリンエンジン車 ( GE 車 ) の走行音は、 時速 15km 以上ではあまり差がありません。 機械的に音量を測ると、 大差無いのです。

それならば 15km/h 以上で走行してくるハイブリッド車は、 ガソリン車と同じくらいに接近に気付くかと言うと、 そうはなりません。
[NEWS] Re: プリウスは静かすぎて危険」 に書いたように、 電気自動車も音を出しているのですが、 ガソリン車とは音が違うために自動車が近づいて来ているとは認識できないのです。 個人的な経験では、 その音が自動車のものであると無意識に認識できるようになると、 接近に気付くようになります。

資料4(2): 車両接近通報装置を搭載した車両におけるフィールド調査結果 (トヨタ自動車株式会社) の「6.まとめ」にも

(1) 歩行者の認知性評価結果
・ 発音により車両認知の向上が見込めるが、ガソリン車には劣る。
・ 音に気付いた距離はガソリン車と同等であったことから、 このギャップはクルマが発する音としての認識が形成されていないことに起因すると推測。

とあります。 この 「まとめ」 は、 チャイムを鳴らして停車、 または約10km/h で接近したときの評価ですが、 クルマとは思えない音では聞こえていても気付かないことを示しています。


願わくは、 道路運送車両の保安基準四十三条4 の改正だけで終わりますように。

※ 道路運送車両の保安基準四十三条4

車外に音を発する装置であつて警音器と紛らわしいものを備えてはならない。 ただし、 歩行者の通行その他の交通の危険を防止するため自動車が右左折、 進路の変更若しくは後退するときにその旨を歩行者等に警報するブザその他の装置又は盗難、 車内における事故その他の緊急事態が発生した旨を通報するブザその他の装置については、 この限りでない。

ここで 「警音器」 というのがクラクションのことで、 走行中の他車に聞こえる大音量でなければなりません。 また、 音量・音程が変えられるものはダメです。 ( ミュージックホーンは保安基準違反 )
そこで、 歩行者に優しく警告を出すためには、 クラクションとは別に音を出す装置を付けなければならないのです。
しかし、 この条文から 「右左折、 進路の変更若しくは後退するときに」 という条件を削除して、 ドライバーの判断で任意に警告音を出せるようにしてもらえば十分でしょう。

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コメント

たしかにプリウスは徐行レベルでは音がしないね

投稿: | 2011年7月18日 (月) 17時41分

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» ハイブリッド車と電気自動車に 「騒音発生装置」 搭載義務付け [biac の それさえもおそらくは幸せな日々@nifty]
…が、 ほぼ決まりそうです。 どうやら、 エンジン音を真似た音を出させるようです。20年とか 30年とか経って、 ガソリンエンジン車が絶滅した未来でも、 ガソリンエンジンの音だけは生き残るんでしょうかねw 国土交通省の 「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」 の第三回検討委員会が、 10月15日に開催されま... [続きを読む]

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