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2008年7月31日 (木)

大事なコンテンツなら、 無料放送で提供すべきではない

Computerworld.jp に掲載された元麻布春男氏の記事から。

「ダビング10」 騒動で、 日本のコンテンツ市場を憂う
利用者を軽視したガチガチの著作権保護がコンテンツ産業を衰退させる

(2008年07月25日)
元麻布春男

( p.3 )
大事なコンテンツなら、 無料放送で提供すべきではない。 もし提供するのであれば、 無料放送によるパッケージの売上げ減少を計算したうえで、 コンテンツの著作権者と放送局との間で放送権料を設定すべきではないだろうか。 「技術的に私的録画できないことが保証されないかぎり、 テレビ放送にコンテンツは提供しない」 というのが、 著作権者の利益を守る唯一の解決策である。 矛盾の多い補償金制度で解決しようとするのはまちがっている。

そうそう。 いや、 もうひとつ選択肢があって。
地アナ停波後は、 ある番組を録画禁止にすることも可能になるわけで。 つまり、 「技術的に私的録画できないことを保証する」 という選択肢が、 じつは実現してるわけで。
digital_recording_control_data フラグを "11" にすれば、 録画禁止。 "10" ならコピーワンスかダビング10 ( 別フラグで制御 )、 "00" ならコピーフリーか EPN ( 別フラグで制御 )。 今現在の放送局の設備が、 番組ごとに制御できるようになってるかどうかは知らないけれど、 もしなっていないなら、 さっさと対応せいと言うのは著作権益団体の仕事。

ところで。 これ↓は無いでしょう。 (--;

( p.2 )
正当な手段で著作物を入手したユーザーは、 私的な複製を行うことが著作権法30条 「私的使用のための複製」 で認められている。
( …中略… )
レンタル・ショップで CD を借りて PC のハードディスク・ドライブ (HDD) にコンテンツを取り込み、 CD を返却したあとでもそのコンテンツを利用したり、 購入した CD を PC の HDD に取り込んだあと中古 CD ショップに売却したりする行為である。 だが、 これらは本来、 著作権法に違反する行為であり、 私的録音・録画の範疇を越えている。 本来、 CD を返却したり売却したりする際には、 取り込んだ (複製した) コンテンツも消去しなければならない。 しかし、 現実にはそれを確認する手段がないため、 代わりに補償金を上乗せしている。

著作権法30条には、 著作物の所有者であること、 という要件は書かれていませんよ。 誰のモノであれ、 「個人または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で 使用する場合には、 その使用する者が複製することができる」 のです。

レンタルショップから借りた ( 普通の ) CD を私的複製して捕まったり、 告訴された例があったら教えてほしいものです。
また、 現在は合法だからこそ、 レンタルは著作権法30条の対象外にしよう、 という動きがあるわけです。
※ 例えば、 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第1回)議事録 ( 2007/3/27 ) などを読むと、 レンタルを対象外にしたいけど現実問題として無理だよねぇ、 といった雰囲気が読み取れるかと思います。

また、 ダビング10 問題について元麻布氏は次のように述べます。

( p.4 )
消費者が望んでいるのは、 同じものを何回もコピーすることではなく、 私的利用の範囲内で2次利用できることだ。 そして、 それが自由にできないという点で、 ダビング10は理想的な解決法からほど遠い。

 この問題の本質は、 以下の3点に集約されると筆者は考えている。

1. 私的録音・録画の範疇を越えた著作権法違反の行為について、 これを実効的に取り締まることは困難である
2. 摘発が困難な違法行為による損害を補填する目的で、 私的録音・録画補償金というあいまいな代替策を制定した
3. そのあいまいな制度を、自分たちの都合のよいように最大限利用したいという思惑を持つ人たち(著作権者)がいる

レンタルであるかどうかに関わらず、 複製したものを 「私的」 の範囲を超えて利用する ( 海賊版を売る、 インターネットで送信する等 ) ことは違法で、 上記 1. の話が該当します。 しかし、 2. のようなとらえ方をした場合、 私的録音・録画補償金 = 著作権法違反行為の対価 であるということですから、 私的録音・録画補償金を支払っている媒体を購入して用いる場合は著作権法違反行為をして良い、 ということになってしまいます。

また、この考え方では、 レンタルや放送からの私的複製の場合には、 私的録音・録画補償金を払う理由がなくなってしまいます。 合法な私的複製に使っているから、 という理由で補償金の返還を請求できることになります。 しかしそれでは、 私的録音・録画補償金の制定趣旨とは異なることになってしまうと思います。

前段の 「私的利用の範囲内で2次利用」 したい、 とか、 後段の 「あいまいな制度を、 自分たちの都合のよいように最大限利用したいという思惑を持つ人たち (著作権者) がいる」 とかには、 とても共感できるだけに、 残念です。

なお、 最後のページにも共感の持てるくだりがあったので、 そこも紹介しておきます。

( p.5 )
 音楽が売れなくなったもう1つの、 そしておそらく最大の理由は、 ユーザーが音楽に触れる機会が減っていることだ。 インターネットの影響もあり、 テレビの視聴率は以前と比較すると低下している。 視聴率が下がればタイアップ効果も低下する。 タイアップ曲が売れなくなっても不思議ではない。

 その一方、 音楽はインターネットから “距離” を置いている。 例えば、 日本の Web サイトで音楽をコンテンツの一部としているのは例外的なサイトだ。 歌手のオフィシャル・サイトでさえ、 音楽 (その歌手の曲) を公開していない。 CD 販売サイト最大手の Amazon.co.jp で試聴できる国内制作 CD は、 一体何枚あるだろう。 聞こえてこない音楽を買う人は少ない。 日本の音楽業界は、 インターネットというチャンスをみすみす逃しているのだ。

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コメント

この辺の話はPlusDで眺めてたんですが…まーあきれた話ですよね、この辺。
気に入らないものは徹底して禁止するのが最近の風潮なんでしょうかねぇ。
著作権あたりはその辺が顕著ですけど、どんだけ譲らない人たちの集まりなんでしょ…。

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/column/kodera.html

投稿: Dのひと | 2008年7月31日 (木) 19時47分

ビデオソフトの売り上げは、 2005年頃から減ってきてます。
http://bluewatersoft.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/dvd_d255.html
( ↑国内だけのデータを載せたけど、 輸出を含めても、 やはり減少傾向。 )

業界全体での売り上げが減っただけでも、 その業界の会社には大変なことですが…

その頃、「ジャパニメーションは日本の輸出産業のキラーコンテンツ」 とかおだてられて、 アニメ産業に参入する企業が相次ぎました。
http://www.itmedia.co.jp/survey/articles/0412/10/news001.html

パイは小さくなって、 テーブルの人数は増えたのですから、 みんなタイヘンな状況になってしまっているのだろうなぁ、 と想像されます。

…という状況は、 理解しておくべきでしょうね。

その上で、 あえて言いたい。
苦しくなったら上 (かみ) 頼み、 ってのは情けないぞ、 恥を知れ、 と。

※ 私的複製に掛ける補償金、 ってやつは、 このままでは無限に増殖しかねない気がするし。 出版社や本屋は、 スキャナやデジカメやカメラ内蔵携帯電話に。 演劇系もデジカメや携帯に。 …ありとあらゆる著作権者が、 補償金を要求できることでしょう。

投稿: biac | 2008年8月 1日 (金) 19時20分

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